PROJECT STORY 01

高付加価値製法を確立せよ!ー よりおいしいものをお客様へ! ー

オタフクの人気商品である「焼きそばソース」。新商品開発の早い企業様向けのオーダーメイドの焼きそばソースは、年に1~2回のペースで定期的に味のリニューアルをしている。よりおいしい味を・・・。より価値を高めた商品を・・・。お客様により良いものを届けるため、タイトなスケジュール、味のハードル、量産化などの様々な困難に、信頼関係と、“おいしい”への情熱で立ち向かった、1人の営業担当者と1人の開発担当者。考え抜いた結果、オタフクソース独自の「高付加価値製法」を生み出した、2人の物語を追う!

  • 商品開発部藤田 貴明

    2006年入社
    農学部生物資源環境学科 出身

    入社後、本社工場製造部門に配属され、約4年半製造の基礎を学ぶ。その後、広島の開発課で1年間、東京開発課で7年、味の開発を担当。味覚の鋭さを競う官能コンテストでグランプリ獲得経験あり!趣味は「おいしいものを求めて食べ歩くこと」

  • 特販部安永 勇太

    2002年入社
    農学部農学科 出身

    入社後すぐに大阪営業所へ配属。大阪で2年間営業の基礎を学んだあと、北九州営業所で6年間、特販部で8年間と、営業一筋15年。趣味は「幅広くスポーツ観戦」

MISSION 01

人気の焼きそばソースのリニューアル!
オタフクでしかできない事とは?

 特販部安永勇太は大手小売店様の惣菜メニューを担当する営業担当だ。2016年のその日、安永が考えていたのは、オーダーメイド焼きそばソースのリニューアル。焼きそばソースは、総菜の人気メニューだ。より売れるメニューへとブラッシュアップするため、年に1~2回程度、お客様への提案の度に改良を重ねている。お客様がオーダーメイドの際にオタフクソースに求めるのは、「おいしさ」はもちろんのこと、調味料製造のプロとしての「調味料メーカーならではの付加価値」。味はもちろんのこと、「オタフクにしかできないこと」とは何か、を日々考えていた。

 悩んだ安永が頼りにしたのは、東京開発課の藤田貴明だ。東京開発課の藤田は、オーダーメイド調味料の味を実際作り上げる担当者で、安永とはコンビを組んで、お客様へ提案する調味料を作り上げてきた。時には二人で話題の味のお店を食べ歩き、味について議論しあう仲だ。

 「それなら、製造方法をこれまでとは変えてはどうでしょう?」
安永の相談に、打てば響くように藤田は答えた。藤田もまた、お客様へ何ができるか、日々考えていたのだ。

MISSION 02

「高付加価値製法」を確立せよ!

 惣菜として焼きそばを作られるお客様が求めるのは、味、おいしさ、そしてそれを手間暇かけて創り出すことや、独自製法を磨くことなど、いわば「調味料メーカーとしての付加価値」だ。それを日々感じていた藤田は、以前から情報収集を行っており、ちょうど狙いをつけていた製法の改善案があったのだ。詳細は企業秘密だが、その「高付加価値」を生むオタフクの独自の製法を確立するため、藤田は、原材料の選定や、製法の確立に向け動き始めた。

 味を作りこむこと自体は、開発担当社員として日々行っていることだが、一歩踏み込んで製法自体にも手を加えることは稀なこと。前例の多くないことだけに、藤田は試行錯誤を重ねた。直属の上司や、研究部署の主任研究員にも協力を求め、より焼きそばのコクと香りを引き立たせる製法確立を、少しづつ前進させた。藤田は、試作品を作るたびに安永に相談し、2人は議論を重ねて、これぞ!という味を作り上げていった。

 2人の悪戦苦闘の結果できあがった新しい焼きそばソースは、ブレンドしただけでは出せない調理感があり、分析の結果、コクや香りも深まったものとなった。

MISSION 02

「高付加価値製法」焼きそばソースの量産化を実現せよ!

 高付加価値製法の理論を確立させた2人に次に立ちはだかったのは、量産化の壁である。開発で試作をする際には、ラボの小さな鍋を使うが、実際に工場で大量生産する際には、調味料を大きな釜で炊き上げることになる。理論と現実とでは差も大きく、原材料や製造方法に、調整が必要なはずだった。

 案の定、製造を担当する日光工場工場長の小田は、当初難色を示した。
「そのやり方では、安定した品質を確保できない」

 はっきりとそう言われた藤田はショックだった。しかし、やろうと決めたからには改善あるのみである。相談を重ねるうち、工場での製造経験豊かな小田から、製法の改善案が示された。

 日光工場は、自家挽きの香辛料や生野菜からソースづくりを行うというこだわりの調味料製法を守る、「職人」と言われる社員も多い工場だ。そんな工場だからこそ、ある重要な工程を、温度や時間で機械的に判断するだけではなく、職人が目で見て感じた判断も加味してゴーサインをだしてはどうかというのだ。当初藤田はその方法でうまくいくのか疑問もあったが、実際にその方法をとると、製造もスムーズに進み、品質も安定し、驚かされた。

FOR THE FUTURE

 新しい「高付加価値製法」で作った焼きそばソースは、それまで以上のコクと香りが感じられ、お客様にもご好評を博した。この製法は他の調味料にも展開され、オタフクの「強み」として確立されたのだ。
 藤田は後になって語る。「とても成長させてもらった経験でした。作業的に難易度が高い、ということもですが、香りの検証のために研究室に協力してもらったり、実際に製造する工場を巻き込んだりと、多くの部署と連携して、新しいものを作り出すこととなり、自分の限界を一つ超えた経験となりました」

 また、共に試行錯誤を重ねた安永は語る。
「その製法はオタフクではできない、とあきらめるのではなく、未来に向けて、現在できないことには挑戦しつづけていきたい。それは、藤田さんのような開発担当だけではなく、自分のような営業担当からも、原料や設備などの自分の業務を超える部分まで、様々なことを変えていこうと挑戦し続けることが重要だと思うからです。これからも、今が正しい、今ありき、ではなく、より良く、を目指していきます」

 新しいものを生み出すためには、今の当たり前を超えなくてはいけない、そのためには、会社の基準や常識を変えていなくてはいけない。そしてその挑戦を続けることこそが、会社の発展に繋がっていく。
 安永や藤田のような、1人1人の挑戦が、これからも会社を変えていくのだ。