昭和30年代の思い出エッセイ募集
入選作品紹介
オリンピックのお好み焼
井山 孝治(広島県)
 昭和39年10月10日東京オリンピックの開会式の日に、当時小学校6年生の私は同じクラスの義ちゃん宅にテレビを見させてもらいに行きました。義ちゃんがお昼ご飯にお好み焼を作ってくれました。私はそれまでお好み焼を見たことも、もちろん食べたこともありません。だから、義ちゃんの手元をのぞき込みました。小麦粉を水と卵で溶き、大さじ4杯の砂糖を、さらに、刻んだキャベツ、クジラの肉、かまぼこを入れてかき混ぜ、分厚い鉄のフライパンを熱して両面を焼き、ソースをたっぷりと掛け、半分にしてくれたのをテレビを見ながら食べました。これがお好み焼、何と美味しいこと、今でもその味を憶えています。食べ終わって、また日本でオリンピックがあったらお好み焼を作ってよ、その時にはお酒を飲もうよ、との提案に「よし分かった、楽しみだね」と義ちゃんは約束をしてくれました。
 それから月日が流れて、二度目のお好み焼を食べたのは、高校を卒業して福山郵便局の先輩が連れて行って下さったお好み焼屋。食べながら先輩に、ここは砂糖甘くないのですねと尋ねた。先輩は不思議そうに「お好み焼は砂糖甘くないよ、どうしたの」と。私は初めて食べた話をしました。先輩は微笑みながら「味は好き好き、お好みだけど、普通は砂糖を入れないよ」と。確かに先輩の言葉通り、その後今日まで砂糖甘いのを食べたことがない。手造りのお好み焼器で作る、我が家流のお好み焼にも砂糖は入れない。
 だけど、一度砂糖甘いお好み焼を作ってみよう。五十余年前の、あの味、義ちゃんを思い出すだろう。そうして、お好み焼と缶ビールを持って義ちゃんの墓前で昔話をしよう。
一覧
お好み焼きが紡いだ絆館 高司(埼玉県)
祖母のお好み焼き原山 摩耶(徳島県)
オリンピックのお好み焼井山 孝治(広島県)
お好み焼き 嫌いなのか?會澤 公平(広島県)
家庭の味、お店の味。心に刻まれた幸せな風景。峯 綾美(広島県)
おばあちゃんのてっぱんお好み焼きM.N(兵庫県)
貧しかった頃のお好み焼き古田 ミホコ(広島県)
はじめて食べたお好み焼きの思い出呉の秀ちゃん(広島県)
「8マン危機一髪!」井尻 哲(広島県)
父ちゃんの「いえおこ」亀井 貴司(広島県)
「カタカタ」と生玉子の音色(ねいろ)世良 元昭(広島県)
右手の卵大信 容子(広島県)
私とお好み焼き皆川みどり(広島市)
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