入選作品紹介
おばあちゃんのてっぱんお好み焼き
M.N(兵庫県)
カオルは小学4年生。学校から帰ると毎日、おばあちゃんのお好み焼き店の手伝いに行く。カオルはおばあちゃんと一緒にお好み焼きを焼くのが大好きだ。
カオルのおばあちゃんは、おじいちゃんが戦死してから自宅の1階を改装して「キヨちゃん」という自分の名前を付けたお好み焼き店で毎日、お客さんにお好み焼きを焼いている。
「カオルはお好み焼きを焼くのがうまいなあ。もうりっぱな「キヨちゃん」の大将だ。キヨさんも安心だな」
「この店はわたしの代で終わりだよ。カオルには勉強して偉くなってもらいたいからね」
おばあちゃんは八百屋のゲンさんにそう言ったけど、カオルはおばあちゃんと一緒にずっとお好み焼き屋をやりたいと思っている。
「店を始めたときは、アメリカさんから配給されたメリケン粉を使ってたんだけどね。こうやって、てっぱんに小麦粉を薄くのばして、その上からキャベツをてんこもりにして、豚肉をのせて、ていねいに重ね焼きをしていくんだよ。中華麺もやわらかくほぐしてからのせるとうまく焼けるよ」
おばあちゃんに教えてもらった通りに作ると、ほんとうにおいしいお好み焼きができるから不思議だ。
最後のお客さんが帰ったあと、おばあちゃんは特別に「カオルのお好み焼き」を作ってくれる。中華麺が売り切れの時はかわりにうどん玉、豚肉がないときは魚肉ソーセージをたくさん入れて、カオルだけの大きな特製お好み焼きの完成だ! そのお好み焼きをおばあちゃんと半分こして食べるのが、カオルの一番の楽しみだ。
おばあちゃんはカオルが中学生の時に白血病で天国に逝ってしまったけど「キヨちゃんのお好み焼き」はまだカオルの心の中に生きている。今、カオルはおばあちゃんの跡を継ぐために調理師免許を取る勉強を頑張っている。
一覧
お好み焼きが紡いだ絆 | 館 高司(埼玉県) | |
祖母のお好み焼き | 原山 摩耶(徳島県) | |
オリンピックのお好み焼 | 井山 孝治(広島県) | |
お好み焼き 嫌いなのか? | 會澤 公平(広島県) | |
家庭の味、お店の味。心に刻まれた幸せな風景。 | 峯 綾美(広島県) | |
おばあちゃんのてっぱんお好み焼き | M.N(兵庫県) | |
貧しかった頃のお好み焼き | 古田 ミホコ(広島県) | |
はじめて食べたお好み焼きの思い出 | 呉の秀ちゃん(広島県) | |
「8マン危機一髪!」 | 井尻 哲(広島県) | |
父ちゃんの「いえおこ」 | 亀井 貴司(広島県) | |
「カタカタ」と生玉子の音色(ねいろ) | 世良 元昭(広島県) | |
右手の卵 | 大信 容子(広島県) | |
私とお好み焼き | 皆川みどり(広島市) | |
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